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2009年08月06日

2.現実(3)


「次は誰があそこに座るんでしょうねぇ?」若い男がぽつりと言った。
「誰が来ようと、こっちにゃカンケーねーよ。」
 初老の男は、吐き捨てるように言ってそれきり黙ってしまった。
 新田の仕事は省内でも有名だった。
 成果の大きさも確かに有名だが、一方で黒い噂が付いて回ることでも有名だった。
 新田はトップダウンの政策立案だけでなく、ボトムアップによる政策立案においても数多く、国会審議を短期間で通過させて政策実施に結び付けてきた。
 その辣腕ぶりは噂には上るものの、実際には一部の人間しか実態を知らない。しかもそれらの人間が新田とのやりとりを口外することは、論理的に考えてもあり得なかった。
 なぜなら、新田が政策実施を取り付ける上で抑えていたのは、大臣であり、事務次官であったからだ。大臣政務官や、大臣官房、ましてや局長クラスなどは新田の視界には入っていなかった。もちろん、必要となる印鑑は必ず捺印されている。が、それは大臣、事務次官からのトップダウンで承認せざるを得なくなっていたというのが実態だろう。
 決して新田は国政を改善することを目的として全力を尽くしていたわけではなかった。
 

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posted by 北乃 道晴 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2.現実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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