モータースポーツ 人気ブログランキングへ


<サイト内検索>



2009年08月19日

11.獅子と老獪(2)


 珍しく柿崎は1人きりで東京へ出張した。東京出張所にも立ち寄り、3日後に札幌に戻って来た。
 今回の出張の大きな目的の一つは、赤丸自動車会長、古出善九郎に会うことだった。古出善九郎・・・。新田が筑波サーキットで会ったあの老人だ。
 古出善九郎も北海道出身だ。ちなみに現在の国土交通省大臣で、今後の政局でも重要なポストが期待される古出剛児は、善九郎の次男で北海道1区選出の衆議院議員だ。
 善九郎自身も赤丸自動車の会長職として現在のようにのんびりと過ごすようになるまでは、中央政界に名を馳せ、官房長官として、政界のご意見番として、そして政界の長老として、長く衆議院議員を務め上げてきた。
 そして善九郎が最後の衆院選に臨んでいたときに、柿崎が善九郎の選挙事務所に1人で乗り込んで行ったことが二人の出会いとなった。
 柿崎はたった一人、特攻服を着込んで、選挙事務所のスタッフらの制止を振り切って、夕方過ぎの善九郎の札幌事務所にズカズカと乗り込んで行った。
 偶然、善九郎も選挙事務所に戻って来ていて、ソファーに座って談笑しながら、一日の疲れを癒すようにのんびりとお茶を飲んでいた。
 善九郎の取り巻きを振り切り、押しのけて、いきなり特攻服姿の柿崎が善九郎のすぐ目の前に仁王立ちになった。
「首相になって、これをやってくれ!」ドスの効いた声で、柿崎は善九郎に向かって言うと、A4用紙3枚をホッチキスで綴じた書類を善九郎の目の前のテーブルに置いた。
 この間、数秒だったろうか・・・。周囲の人間は氷のように固まっていた。その固まりが緩み始める直前に、
「ほお・・・。」と善九郎が微笑んだ。


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック




楽天 ネックレス
エコバッグ
エルメス
ヘヴン ← H21日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞
モータースポーツ 電動レーシングカート

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。