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2009年08月19日

11.獅子と老獪(3)


 柿崎が持ち込んで善九郎に渡した書類は、今で言うマニフェスト原案そのものだ。
 善九郎は、特攻服姿の大柄な、まだ若い男が睨みつけるように立ちはだかり、しかも自ら作り上げたことがすぐに伝わって来るような簡素な書類を直に渡しにやって来たことに興味を持った。
 善九郎は、周囲のスタッフがこれまで見たことのないような素早さで、柿崎が置いた書類をテーブルから取り上げた。
「手っ取り早く言えば・・・」柿崎が言いかけると、善九郎はそれを制止するように左手を柿崎に向けた。そして、続けて数分ほど柿崎の書類を何度も見直した。
 それからパサリと書類がテーブルの上に戻された。
 と同時に善九郎が柿崎を見上げて言った。
「無理だな。こりゃ。」善九郎の顔は大笑いに変わっていた。
「国政のために立候補するんだろ!?」柿崎が善九郎に言い返した。
「そうじゃないよ、若いの。もう、わしには時間が残っとらん。」善九郎が答えた。
「時間が無い?そんな奴がなぜ立候補するんだ?」柿崎が両手の拳を握っている。
「おまえ、失礼にもほどがあるぞ!」ようやく選挙事務所のスタッフ達が騒ぎ始めた。


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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