モータースポーツ 人気ブログランキングへ


<サイト内検索>



2009年08月23日

13.進路(11)


「世界のスポーツの中でも、モータースポーツは徹底的に最先端技術を取り入れて、高い公正性を保ち続けてきた唯一のスポーツですよ、新田さん。」田村、そして田村の左右に座っているスタッフも、新田を睨みつけていた。
 だが、新田は平然としている。
「であれば、オーナーが先ほど言われた適齢期なるものは参考にはなるでしょうけど、私の将来を予測する決定的な材料にはなりませんよね?」
 続けて新田は言った。
「田村さんは自ら現役ドライバーに終止符を打って、今、オーナーとしてレースに関わっているそうですが・・・。もし勝ち続けていたとしたら、やはり、今そこに座っていましたか?」
 田村は頭を冷やすようにオーディションの申請書類を見つめ、少しだけ間を置いてから再び話しはじめた。
「来年FJ1600でシリーズチャンピオンになったとして、その次のステップは新たに自分で切り開いて行かなければなりません。その点はどのように考えていますか?」
「それは答えようがありませんね。気持ちだけの話なら、もちろん考えていると言っても差し支えないのかもしれませんが・・・。」新田は依然として平然としている。
 田村はため息をついた。
「最後に、モータースポーツで食べて行けると考えていますか?」
 新田もふぅと息を吐き出してから答えた。
「株や外国為替証拠金取引と同じでしょう・・・。勝ち続けていられれば、イエス。勝てなければノーですよ。違いますか?」
 田村も、スタッフ二人も明らかに不機嫌な顔をしていた。
「判りました。面接は以上です。最後に、新田さんから何かありますか?」
 新田は腹の底でニヤッと笑い、冷静に言った。
「年齢的にフルサポートの対象外であれば、スクール受講のPRをして下さって結構ですよ。柿崎が私に何を期待しているか判りませんが、誰から見ても私は完璧な初心者ですからね。」
 そして頭を下げて、「面接までして頂き、有難うございました。」と言い終えると、立ち上がって部屋から出て行った。
 残された田村ら3人の面接官はしばらく黙り込んでいた。
 が、田村が取り出した書類を二人のスタッフが見直すと、困惑した表情と苦笑いが交錯した。
 そこには、『実技/No.1』と赤いペンで大きく書き込まれていた。


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 13.進路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/126295774
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック




楽天 ネックレス
エコバッグ
エルメス
ヘヴン ← H21日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞
モータースポーツ 電動レーシングカート

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。