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2009年08月31日

18.挑戦(3)


「ようこそ、ニーダ。」オフィスに案内されると、田村に紹介された車椅子の老人から新田は声をかけられた。
「はじめまして、ロンバルディ侯爵。」新田もすぐに挨拶を返した。
 車椅子の老人こそがこのファクトリーのオーナーだった。
「はは。今となっては名ばかりの公爵だがね。」ロンバルディは子供のように笑った。
 オフィスには新田、田村、オーナーのロンバルディの他に、3人の男が同席していた。
「ジェームズ・ワッツ。マネージャーだ。」小柄だが痩身で眼光鋭い白髪の老人が、座ったまま手を上げて挨拶した。
 そしてワッツは、隣に座っている小太りの中年男を横目で見ながら「彼がチーフエンジニアのエドモンド・ボックスフォール。」と紹介した。
 ボックスフォールは温厚な笑顔で新田を眺めていた。
「それとチーフメカニックのトマス・マテソン。」紹介された2m近い身長の大男が、新田に対して気さくに握手を求めてきた。
「タムーラ、テストは予定通り明日行う。もし今から練習走行する気があるなら、マシンを貸すよ。トマスが面倒を見てくれるだろう。」と、ロンバルディが穏やかに言った。
「全くの初心者だと聞いているからね。ニーダ。」
 英国F3のインターナショナル・クラスにエントリーするには、最低でも国際B級ライセンスを所持していなければならない。新田の場合、日本の国内A級ライセンスしか所持していないため、日本選手権(全日本選手権あるいは地方選手権)のレースで最低5回は完走して、順位認定を受けなければならない。
 簡単に言えば、全日本F3選手権(F3)、フォーミュラ4地方選手権(F4)、フォーミュラJ1600(FJ1600)、ツーリングカー選手権のいずれかで、5回以上の完走が必要ということだ。
 田村はその資格すら満たしていない新田を、英国の伝統あるF3チームに売り込んだということになる。今回のテストを受諾させた田村の苦労は想像を絶するモノだったろうと新田は充分に理解していた。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 18.挑戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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