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2009年08月06日

2.現実(4)


 大臣提案の、いや、与党提案の政策立案要求に素直に応じると思えば、新田一個人で立案した政策案を大臣提案として国会審議に「付させる」ような異常な動きをすることもあった。
 もちろん、このような動きは大臣しか知りえないし、大臣がそのようなことを口外することなどありえないことは前述の通りだ。
 が、経済産業省として所定のルートを規定どおりに承認取り付けしながら、ボトムアップで大臣へ提案するなど、労多くして実り無しの典型だ。
 新田がどのようにして大臣や事務次官の首を立てに振らせるのかは、当人たちにしか知りえない。
 しかし、側近たちが目にした光景からはその一端が窺い知れる。
「大臣・・・。経産省の新田さんが・・・。」と告げると、どの大臣も如実に暗い表情をする。
 メディアでもマークできなかったような秘密裏の与党会合へも、何故か新田だけはホテルや料亭のどの部屋かまで知っており、平然と乗り込んでくる。
 「5分で済む話。」と大臣を廊下に呼び出して、明らかに「殺し文句」がいま放たれた・・・と大臣の表情で判る場面が数多く目撃されている。
 もちろんお忍びの移動先だろうと、新田にはまったく隠しようが無い。
 これは大臣だけでなく、事務次官についても同じだった。


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posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2.現実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2.現実(5)


 週末に、久しぶりに初孫の居る娘の家族とスーパー・マーケットへ出かけていたある事務次官の話だ。館内放送で車のナンバーが呼び出され、「ライトでも消し忘れたか・・・?」とインフォメーションに向かうと、そこに新田が立っていた。
 突然顔色が変わった父である事務次官を、娘が気遣って見つめているのに気付くと、事務次官はすぐに新田から遠ざけた。
 事務次官自ら、
 「5分で済む話だから・・・。」
と娘夫婦に言った時には、さすがの新田本人も苦笑いしそうになるほどだった。
 新田は経済産業省という看板を最大限に活用して、経済産業省自体が知りえない情報ネットワークを作り上げていた・・・というのが最も信頼できる推測だ。
 完全に個人的な情報ネットワークを築いていたという者もいるが、それはあまりに飛躍している。ある意味、たかだか経済産業省の室長クラスの人間に、それだけの人・モノ・金・情報はやりくりできない。それよりも経済産業省の中に居ることをフルに活用して、ノーコストで利用できるものを利用しつくす方が現実的だ。
 それは他局を利用するといった子供じみたものではなく、食堂や清掃業者など出入りの者を利用する初歩的なものでもない。もちろん必要に応じて、これらも情報源として、あるいは風評流布に大いに役に立つ。
 が、町内会組織やボランティア団体、NPO法人、等々といった、一見利権に縁遠い組織を「経産省の室長」というちょっとしたキーワードをちらつかせるだけで大きな味方にしたこともある。
 野党や思想団体を間接的に利用することも多々あった。これらを肩書きだけで利用できることに初めて気付いた時、新田にとって思わぬ収穫となったのは確かだ。
 メディアを直接操作することは不可能だし、世論を操作することなど絶対に出来るわけは無い。が、メディアや世論が何によって動くのか・・・?これを数多くの事例で経験的に学んだ新田は、経済産業省そのものに対しても大きな外力を与えるのに活用していた。 もちろん、他省に対しても、あるいは大臣等の個人に対しても、同じように活用できた。


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posted by 北乃 道晴 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2.現実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2.現実(6)


 また、情報を漏らさない点でも新田は優れた才能を見せた。
 結果が明らかになるまで、新田と関わる人間達には、いつ何が起きるのか探ることすらできなかった。
 身近な例では、政策企画室のスタッフ達の業務は相互に照らし合わせても新田が取り組んでいる政策立案内容が何なのか全く解読できなかった。
 政府、大臣からの政策立案を依頼された場合でも、事務次官ですらその案件の存在を知ることはできなかった。
 最終的に出来上がる政策案も新田特有の編集パターンが存在しなかった。そのため、スタッフ達が自分達のデータがどこに使われているかを結果的に知り得ても、逆に次の業務から新しい政策案がどのようにまとまっていくのかを逆推定することはできなかった。
 そして最も巧妙だったのは、新田が仕上げた政策の9割は、新田が手がけたものとは知られていないという点だった。省内で黒い噂が流れる新田の仕事は、新田自身がリークしてよいと判断した仕事でしかなかった。
 逆に言えば、新田の処理能力は省内の人間が知っている新田の能力をはるかにしのぐものだったということになる。
 だが今、新田は政策企画室長室の椅子に座って一つの事実を悟っていた。
 この3日間を費やして、新田の経済産業省での非共有情報は全て処分していた。
 そして、全てをやり終えた今、もう一度思った。
『やりすぎたな・・・。』


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2.現実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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