モータースポーツ 人気ブログランキングへ


<サイト内検索>



2009年08月09日

6.帰郷(1)


「17〜18年経ったかな?」柿崎は長谷が持ってきた缶コーヒーを新田の前に置いて言った。
「全く連絡もしないで・・・。」新田はそう言うと、申し訳なさそうに柿崎に頭を下げた。
「そうしろと言ったのは俺だからな。」柿崎は全く気にせずに新田の顔を見た。
「さすがに疲れた顔してんな。」柿崎が笑った。
「そうですか?いつもこんな顔してたんですけどね。」新田も笑った。
「上から見下ろした下はどうだった?」柿崎は忘れていなかった。
「下を見るなんてこと・・・とうとう、出来ませんでしたね。」正直に新田が答えた。
「お前でもそうなるってことか・・・。」柿崎は長年知りたかった一つの答えが明らかになったと感じた。
「大半はおれの手元に届く前に指針が決まってましたからね。俺なりに上が思い付きもしないことをやってみましたけど。まあ、その結果がこうです。」新田が付け加えた。
「現場とトップの両方に自分の居場所が無いと、思うようにはならないって事かね?」柿崎がに飯田に問題を出すように言った。


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.帰郷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

6.帰郷(2)


「それは柿さんのほうが良く知っているんじゃないですか?」
「俺は上の事なんか知らんよ。」
「そうですか?上って何のことを柿さんが言っているのか、判らなくなって来ましたよ。」新田が苦笑いした。
 新田が缶コーヒーのプルトップを引いて、ひと口飲みかけたとき、
「家族はまだ東京か?」と柿崎が尋ねた。
「ええ。」
「実家には顔を出したのか?」
「昨日。5年ぶりに親の顔を見るなんて親不孝をして来ました。」
「そうか。で、仕事は何をしたいんだ?」
「それが・・・。今は・・・いや、もともと何をしたかったのか判らなくなって。」


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.帰郷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

6.帰郷(3)


「なんだ?信念、見つけられなかったのか?」
 柿崎が発したこの一言は、さすがに新田には痛かった。
「そんな気がします・・・。」
「良かったな。俺と一緒にパクられ無くって。」柿崎が笑った。
 柿崎には全て見透かされている。あらためて新田は思い知らされた。
「俺も大した信念なんか未だに持っちゃいねーけどよ。小さな信念を持つだけでも、生き方が随分と変わるもんだぜ。」タバコに火を点けながら柿崎は言った。
「給料少ないけど、しばらくここで働いてみるか?」
「いいんですか!?」新田が驚いた。
「どれだけ働こうと、怠けようと、ここでは全員給料は均等割りにしている。俺も含めてな。ボーナスも無し。全員、会社の予算や経営状況を知っているし、切り盛りもしてる。」
「・・・。」


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 6.帰郷 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




楽天 ネックレス
エコバッグ
エルメス
ヘヴン ← H21日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞
モータースポーツ 電動レーシングカート

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。