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2009年08月10日

7.見習い(1)


 3日後の早朝、小さな中古の軽自動車が『ジャパン・ビークル』の駐車場に乗り入れてきた。
 運転席のドアを開けて降りてきたのは新田だった。
 ちょうどその時、柿崎が毎朝の日課にしているジョギングから戻ってきた。
「お、やる気満々だな。最初からあんまり頑張り過ぎるなよ。」柿崎が笑いながら新田の傍に近寄ってきた。
「毎朝やってるんですか?」新田が驚いたように聞いた。
「お、これか?」汗でびしょ濡れになったウェアを見て柿崎は、
「カミさんと子供に太り過ぎって言われちゃってなぁ。」と苦笑いして見せた。
 そして、続けて言った。
「龍の家族はどうするんだ?」
「安いアパートを見つけたんで、来週にはこっちへ来ます。その時あらためて挨拶に連れて来ます。」この2日間、新田があちこち駆けずり回って様々な段取りをつけていた事が柿崎にも直ぐに判った。
「いいよ、挨拶なんて。それより子供連れて会社に来てもいいルールだから。父親の背中、たっぷり見せてやれよ。」
 その言葉に、柿崎らしい会社を作り上げたなぁと新田は思った。


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posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 7.見習い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

7.見習い(2)


「全員、知った顔だろ?とりあえず1ヶ月くらい掃除担当でもしながら、昔話や仕事の話でもしてみるといいさ。」首にかけたタオルで顔から噴出す汗を拭きながら言うと、
「すぐメシ食ってくるから。その辺り、見物でもしててくれや。」と笑って、柿崎はガレージ裏手にある自宅へと走って行った。
 北海道らしい、静かで、涼しい空気が辺りを包んでいた。


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posted by 北乃 道晴 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 7.見習い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

7.見習い(3)


 ガレージの外に立て掛けてあった竹ほうきを見つけて、新田がガレージの外を掃き掃除していると、次々と社員の車が駐車場に入ってきた。
「お、龍。今日からか!」長谷が声をかけてきた。
 長谷は若い頃は柿崎の右腕と言われたナンバー2の男で、喧嘩のときの冷酷さでは右に出るものが居ないほど恐れられていた。
 が、その当時の姿はすっかり消え去り、今では柔和で好感の持てる表情が印象的に映る。もちろん、相変わらず頼り甲斐のある存在感は失われていなかったが。
「長谷さん。おはようございます。」
「あとで作業服持ってくるから。すまんな。」Yシャツ姿のまま、埃だらけになっている龍を見て長谷が優しく言った。
 そしてすぐに長谷は、ガレージのシャッターを開けるために、事務所の施錠を開いて入っていった。
 駐車場に次々と停まる車から作業着姿の男達が降りてくると、
「龍!龍じゃないか!」
「おう、今日からか!」
「聞いたぞぉ!戻って来たんだって?」
と、懐かしい顔の男達が入れ替わるように新田に声をかけて行った。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 7.見習い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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