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2009年08月13日

8.東京出張(4)


 土曜の朝、新田は2番便で千歳を発ち、午前中の早い時間に羽田の到着ロビーを出た。
 まだ久しぶりとも感じない雑踏の中、足立区の東京出張所へ直行すると、昼食前には懐かしい吉森の顔を見ることができた。
「いやぁ、龍とこうして一緒に仕事が出来るようになるとは思って無かったよ。」吉森は本当に嬉しそうに新田を迎え、さっそく翌日金曜の日程と内容を説明してくれた。
「俺でも何とか手伝えそうで安心しました。」新田がほっとして笑うと、
「なに言ってやがんだ。いつも何でもすぐ覚えちまって、要領良くやってた男がよ。」と吉森が、『来てくれたのが新田で良かった。』と感じながら言った。そして、
「今晩、俺んちに停まってくれ。明日、朝一番に一緒に出よう。」と新田を誘った。
 その夜は吉森の家族と楽しい時間を過ごすことができた。
 吉森には体格のいい奥さんと、細くてヒョロヒョロした小学1年の長男と、同じようにほっそりしていて幼稚園の年中組に通っている長女がいる。
 吉森は新田を弟分というより、頼り甲斐のある相棒だと感じている。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

8.東京出張(5)


 17年前、吉森は柿崎と、あるチームへ報復に乗り込んだことがあった。柿崎傘下のチームが罠にはまり、1人の死者を出す襲撃を受けたためだった。そのときの道警の対応はあまりに事務的だった。特に柿崎が急激に力を付けている事に道警は注意を払っており、柿崎に不利になる事件を道警自体が有利に利用していると見るのは決して不自然なことではなかった。
「今回は二人だけで行く。お前ら、手出しするな。今日は散会だ。」
 チームがいつも利用している倉庫で、集まっていたメンバー全員に柿崎が言った。
 そして、柿崎と吉森が二人だけで出ようとした時だった。
「吉森さん。万が一、あいつらが最初に吉森さんだけを狙ってきたら、裏手の倉庫へすぐ飛び込んでください。」と書いたメモが、新田から吉森へ渡された。
 柿崎と吉森が向かう先は、相手チーム50名が普段から根城に使っている町外れの怪しげな廃店舗だった。
「落とし前をつけたい。」と柿崎が連絡を付けたとき、「こっちへ来てタイマン勝負だするなら相手になる。」と相手チームから回答を取り付けていた。
 柿崎はまるでバカ正直に「立会人として吉森だけを連れて行く。」と決めた。
 もちろんメンバー全員が大反対したが、柿崎の決めたことは絶対だった。
 柿崎と吉森が倉庫を出た直後に、長谷ですら呆れた様にさっさと帰って行った。
 だが新田は、まだどうしていいか決心が付かずに居残っていたメンバー10人に声をかけ、しばらくなにやら話をした後に全員で倉庫を出た。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

8.東京出張(6)


 新田は、相手チームが吉森を潰した後に、柿崎を拘束して道内全チームに見せしめにする計画だと踏んでいた。
「吉森さんが押さえられたら、柿さんは絶対に動かない。吉森さんさえこっちに取り返せば、柿さんは自由に暴れまくれる。」新田は居残っていた10人に言った。
 吉森と柿崎が現地に着く30分も前に、新田達は先回りして廃店舗の裏にある倉庫に潜んだ。
 そして案の定、吉森だけが倉庫へ走りこんできた。
 30人前後の相手チームのメンバーが、それを追いかけてきた。
「行くぞ!」一番年下の新田が仲間のメンバーに檄を飛ばすと、全員が一気に物陰から飛び出した。
 柿崎直属の仲間達は、道内の配下のチームから見ても選りすぐりのメンバーだった。
 吉森を追い込んできた30人程度など、10分もかからずにすべて拘束してしまった。
「柿さんは!?」新田が吉森に確認した。


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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