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2009年08月14日

8.東京出張(10)


「新田元室長ですよね?」
「・・・。」ダンボールを持ち上げようとしていた新田は声の主に顔だけを向けた。その顔には怪訝そうな表情と、そしてあまり思い出したくない呼ばれ方に対する不快な表情が交じり合っていた。
「経済産業省運輸事業構成促進懇談会でお世話になった赤丸自動車の日内です。まあ、覚えていらっしゃらないとは思いますが・・・。」その男は、古めかしい革ジャン姿で丁寧に頭を下げた。
「はあ・・・。」新田は全く思い出せなかったが、
「今日はよろしくお願いします。」と、同じように丁寧に頭を下げた。
「実は新田さんをお呼びするように、うちの会長から申し付かって参りまして・・・。今から少しお時間を頂けませんか?」と日内が言った。
「すみません、まだ荷物を運んで、皆さんに差し入れのドリンクを配ってしまいたいので。」新田は申し訳なさそうに、断りを入れた。
「こっちはやっておくから。行ってこいよ。」吉森が休憩にもなると思って、新田に言った。
「ありがとうございます。あちらのクルマに居りますので。」と日内が手を広げて新田に示した。
「わかりました。少しだけなら。」新田は吉森の言うことに従って、日内に付いて歩いて行った。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

8.東京出張(11)


 新田、吉森らが作業をしていた場所から100mほど離れた場所に、キャンピングカー風の大きな車が停まっていた。側面ドアを開くと日内は、
「奥に居りますので。」と新田を先に乗り込ませた。
 車の中はまるで応接室のような内装になっていた。その奥まったスペースに、1人でソファーに座っている老人が新田の目に留まった。
「新田元室長です、会長。」日内が新田の後に乗り込んできて老人に紹介した。
「ほぉ・・・、聞いてはいたが、本当にお若いですな。」老人は新田の顔を見て笑った。
「はじめまして。ジャパン・ビークルの新田です。」
「まあ、座って。日内、冷たいもの出してあげてくれないか。」
「はい、お待ちを。」
 座ると長引きそうだ・・・そう新田は思い、
「あ、こんなに汚い格好ですから・・・。お気を使わないでください。」と口を挟んだ。
 しかし、
「まあ、気にしないで。」と老人がダメを押した。
 やむなく新田は老人に向き合って置かれたソファーに腰を下ろした。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

8.東京出張(12)


「柿崎君はどうしているかね?」老人がさっそく話しかけてきた。
「お蔭様で忙しくさせて頂いております。」テンポ良く新田が答えた。
「ほっほっほ。彼にはどうも煙たがられていてね・・・。」老人が言った。
「彼を北海道知事に推そうと思ってるんだがね。」老人はこともなげに言った。
「柿崎をですか?」新田は驚いて聞き返した。
「お前さんも国政をやりたかったんじゃないのかい?」
「いえ、全く。若い頃に柿崎に言われたまま、走り続けてきただけですから。」
「柿崎君がいつも言う信念ってヤツが、お前さんにはまだ見つけられていないって様子だねぇ。」老人が笑った。
「その通りです・・・。」初対面の老人にまで言われるとは思っていなかった、信念の欠落。
「柿崎君が知事になったら、お前さんがブレーンか道政のパートナーになると思ってるんだがね。」老人が続けた。


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 8.東京出張 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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