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2009年08月19日

10.A級ライセンス(7)


 2周目。
 複合の最終コーナー入り口で、新田はデミオの鼻先を前方のポルシェのイン側に突っ込む。
「あいつ、ぶつける気じゃねーの!?」モトハルが目を丸くして見つめる。
 その直後にポルシェがラインを譲るように、新田がポルシェの前方へ抜け出た。
「あはは。モトハルが走ってるとき、クルマ壊されたら帰れなくなるって言ってたんだぜ、あいつ。」ジンが大笑いしている。
 これで、新田はグループC参加者の中でトップに立った。
「あんのヤロー。」モトハルが悔しそうに笑った。
 残る周回数、残念ながら先導車に追い付くことは出来なかった。こればかりは、誰が見ても当然の結果だった。
 レース用に徹底的にチューンされたGT−Rを、現役でレースに参加しているドライバーが走らせているのだ。先導しているだけとは言え、そのスピードには大きな差が付いても当たり前だった。
「皆、ぶつけられたら嫌だって感じでどんどん道を開けてくれたんで・・・。」パドックに戻って来た新田は、少しばかりつまらなそうだった。
「へぇ。少しやる気、出て来たみたいだな?」ジンがモトハルに目配せしている。
「いや、少し慣れてきたって感じですよ。カーブ入って行く時なんて、まだビビリながらですからね。」あと片付けを始めながら、新田が答えた。
 ひと段落してから、新田は先導車を担っていたGT−Rを遠巻きに眺めていた。
「あの車、ラクそうでしたよね。」新田が呟いた。
「そうだなぁ。ストレートだけフルスロットルくれてやれば、それだけであんな差がつくんだからな。」モトハルも同感だった。
「なに言ってんだよ。レースでは条件を揃えて、同じようなクルマで走るんだ。今日のGT−Rみたいにダントツでぶっちぎれるレースなんてねーよ。」ジンがバカにするように笑った。
 確かにそうだな・・・とでも言うように、新田とモトハルは目を合わせると吹き出して笑った。


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posted by 北乃 道晴 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.A級ライセンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10.A級ライセンス(8)


 合宿所に戻って昼食を食べたあと、再び座学があり、最後に筆記試験が行われた。
「これから答えを言います。隣の方と答案を交換して、隣の方が採点してください。それが終わったら、後ろの方からこちらに答案を集めてください。」
 そう言うと、講師が1問目から回答の発表を始めた。
 最後に講師の手元に答案用紙が回収されると、
「こちらで採点の再チェックを行いますので・・・、1時間ほど自由に待っていてください。ライセンス発給を郵送で希望される方は、こちらの書類に送付先を記入して、そのまま帰宅していただいて結構です。では、お疲れ様でした。」と告げて、会議室から退室して行った。
 参加者のうち10名前後が「郵送でいいか・・・。」と、先ほどまで講師が立っていた横の机に集まっていった。係員が手渡す書類に送付先を記入して、再び係員に返却してから会議室を出て行った。
 新田たちは、合宿所の外にある喫煙コーナーで話をしながら時間を潰した。
「合格発表と、ライセンス発給を始めます!」50分が経過した頃、残っていた参加者を係員が呼びに来た。
 再び会議室の席に戻ると、「いまいち自信が無い問題・・・、結構あったんだよな。」突然モトハルが暗い表情で呟いた。
 新田とジンは、それを聞いて思わず不安になった。


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posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.A級ライセンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

10.A級ライセンス(9)


 だが、それも取り越し苦労で済んだ。
 30分後には3人とも無事に国内A級ライセンスの発給を受けて、意気揚々と札幌に向かっていた。
「えへへ!」モトハルがデミオの助手席で何度もライセンスを眺めてはニヤニヤしている。
「良かったな。筆記試験で不合格にならなくて。」ハンドルを片手で握ってリラックスしながら、ジンがモトハルを冷やかした。
「柿さんに大笑いされるところだったな。」
 夕方6時を回った頃に3人がジャパン・ビークルに到着すると、休日出勤していたメンバーが出迎えてくれた。
「へぇ、全員合格かぁ!モトハルは筆記で落ちるんじゃないかって噂してたんだぜ。」仕事を終えたばかりのタクが笑った。
「ほ、ほっとけ!ほら、これを見ろよ。」モトハルは痛いところを突かれたものの、自信たっぷりにカード状のライセンスを見せた。
「参加者トップ?」
 事務所で柿崎と長谷が顔を見合わせた。が、以外にも驚く様子も無い。
「こりゃ、少しは使えそうだな。」机に寄りかかって立っていた柿崎が、新田の顔を見た。
「何かたくらんでるでしょ?」新田がソファーに座っている長谷を見て言った。
「テストドライバーと、PR出来るドライバーを何処から連れて来ようかって相談してたんだよ。」長谷が笑った。
 この時点で新田には察しが付いた。
「お前、ちょうどいいかも。」柿崎も笑いを堪えながら、長谷に付け加えた。
「模擬レースだったんだから、全員が本気で走ってたと思わないでくださいよ。」新田は一言だけ抵抗しておいた。


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posted by 北乃 道晴 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.A級ライセンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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