モータースポーツ 人気ブログランキングへ


<サイト内検索>



2009年08月20日

11.獅子と老獪(4)


「はやく警官を呼べ!」スタッフの一人が叫んだときだった。
「ほっほっほ。君達は意見を述べる有権者をなぜ警察に引き渡そうとするのかね?」笑みを浮かべる善九郎の眼が、刺すような鋭さでスタッフ達を睨みつけていた。そして、ゆっくりと柿崎の方を見直し、
「わしが今まで取り組んできた仕事を完成させるためだよ。青函トンネルの有効活用と、北海道の広大な土地を有効に活かすための道路整備。まあ確かにこの選挙で当選しても、任期内で完成を見ることは無理かもしれないがの。」少し寂しそうに善九郎が言った。
「俺がやろうとしていることはもっと小さなモノだ。読んで判るだろ。やろうと思えば1年かからずに出来るはずだ!」柿崎が食い下がる。
「ほーっほほ。そうかな?なかなかこれは根回しが大変なプロジェクトじゃぞ、若いの。」
「誰ならできるんだ?そいつを教えろ。今からそこへ行く!」柿崎が言い放った。
 善九郎の笑みがどんどん大きくなっていく。
「ふむ。お前さんなら出来るかも知れないな。」善九郎がソファーにもたれ掛かって、柿崎の姿をしげしげと見つめた。
「はあ?」柿崎も、そして周囲に居たスタッフや関係者も呆れた表情に変わった。
「この辺りで暴れている男だろ?柿崎君とか言う子じゃないか、君は?」善九郎が尋ねた。
 なぜ俺の名前を知っているんだ・・・こいつは?思わず柿崎が返事に窮した。


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

11.獅子と老獪(5)


「次は私の息子が立つだろう。世襲の因果だな。が、奴には奴なりにやりたい事もあるはずだ。」善九郎が静かに話を続ける。
「お前さんも自分が信じている夢を実現したいなら、自分でやってごらん。」
 善九郎のこのセリフを聞いて、柿崎はとっさに言い返した。
「信念だけでどうにかなるなら、とっくの昔にやってるぜ!」
「まだまだ社会勉強が必要のようだな。私もお前さんくらいの年の頃から色々考え始めたが、国政に関わりこの年齢になっても、まだ実現できずにいるモノが山ほど残っているよ。大きな道筋を付けては来れたと思うが・・・。」善九郎が諭すように言った。
「くっ・・・。」柿崎は爆発寸前だった。
「本気なら、自分で立ってやってごらん。私がこのプラン、残る余生で後押ししてやってもいい。」善九郎が睨みつけるように柿崎を見た。
 この数週間後のすすきので、柿崎はあの大乱闘を起こした。
「相変わらず、あの爺さんはしつこい。」柿崎がソファーに座って、缶コーヒーの口を開けた。
「そろそろ知事くらいやってみろ・・・、ですか?」長谷が笑った。
「まあなぁ。金を工面できそうなルートを紹介してもらおうと会いに行ったのに、すぐそっちの話ばかりするんだからな。時間ばかり掛かってくたびれた。」苦笑いしながら柿崎が答えた。


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

11.獅子と老獪(6)


「何とかなりそうですか?」長谷が汗を拭きながら、机に腰を寄りかけて聞いた。
「ああ、紹介先を2〜3回ってきた。何とかなるんじゃないか?」気負う様子も無く柿崎は答えた。
 自信があるときの柿崎が口癖にしている「何とかなるんじゃないか?」を聞いて、長谷は少しほっとした。
 柿崎は長谷と吉森と大まかなプランを立て、新しい工場を手に入れられるかの調べに入っていた。業務提携の形で、柿崎たちに資本投入出来そうな会社、その中で北海道でマーケットを広げたいと模索している会社を探していた。
 昨今の不況の影響だけでなく、もともと北海道が課題としている基盤産業の弱さも考慮すると、道内企業を当てにすることは不可能だ。
 また、北海道にはまだ上陸していないビジネスモデルを、柿崎たちが最初に持ち込みたいという狙いも背景にあった。
「そういや龍のこともずいぶん気にしていたな。」思い出したように柿崎が言った。
少し考えて、「龍か・・・。古出さんなら、面白い方向を考え出してくれるかもしれませんね。」と長谷が答えた。
「ああ、経済産業省でのイザコザを上手く処理して、あらためて生き返らせたい・・・そんな口ぶりだったな。」
「柿さんもそうしてやりたいんですか?」
「オレか・・・?あいつがしたい様にさせてやりたいとは思ってるけどな。一応責任を感じてるんだ。勉強しろなんて言っちまったからな。」


落天rakutenの砂時計 > トップページへ


posted by 北乃 道晴 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




楽天 ネックレス
エコバッグ
エルメス
ヘヴン ← H21日本文学館出版大賞ノベル部門特別賞
モータースポーツ 電動レーシングカート

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。