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2009年08月20日

11.獅子と老獪(7)


 柿崎と新田が初めて出会ったのは、柿崎が小学5年生、新田が小学2年生の冬だった。
 手稲スキー場で出合った途端『いがみあい』をおこし、その後、同じ小学校に通っていることもわかった。柿崎はその頃から新田のことを、生意気だが一目置かざるを得ない存在と感じていた。新田は単純に柿崎をライバル視して、1日、1時間でも早く追いつき追い抜くことばかり考えていた。柿崎と長谷は高校1年からの付き合いだから、それより以前の柿崎と新田の関係については長谷でも知らないことが多い。
「あいつは気が強い時と弱腰な時とで、極端なギャップがあってな。何があいつに向いてるんだかさっぱり判らないんだ。」
「あれだけ嫌がってたクルマのレース、乗った途端にとんでもない結果を出してきましたしね。」長谷も冷ややかに笑っている。
「たぶんスピードに対する感性は、あいつの生まれ持った唯一の才能だよ。頭の良さは、どちらかと言うとおまけだ。」柿崎がため息をつくように言った。
少し意外なセリフだな・・・と長谷は思いながら、
「おまけの方で、これまでの人生を生きて来たってことですか。」と聞き返した。
「そうかもよ。お役所仕事なんて、全然魅力を感じていなかったんじゃないかな。古出の爺さんもその点を危惧してた。」
そう言って、柿崎が缶コーヒーを飲み干すと、
「さって、仕事ある?手伝うよ。」と長谷に向かって言った。
「じゃ、1台付き合ってくださいよ。」
 二人はすぐさまガレージへと出て行った。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 11.獅子と老獪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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