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2009年08月30日

17.決断(4)


 そんな田村に対して、「お前、応えられるのか?」と柿崎が新田を睨みつけた。
 それは懐かしい柿崎の目だった。
「腹を決めろ!」
「自分が正しいと信じてるんだろうな!?」
 特攻服を身にまとい、側近のメンバーに向かって柿崎が何度も見せたあの目だった。
 そして、
「なんとしてでも応えるしかないだろ?」と、暗に新田に言い聞かせている目だった。
『全てを失うかもしれない・・・。』新田は全身から気色の悪い汗が噴出すのを感じた。
 柿崎は畳み掛けるように、静かに新田に言った。
「お前の信念は何だ?」


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17.決断(5)


 結論を出すことが出来なかった新田は、帰宅途中で、自宅アパート近くにある豊平川河川敷の公園で時間を潰した。
「やれるもんなら、やってみたいさ!」
 ワールドカップで活躍する海外のアルペンレーサーに憧れていた小学生の頃の自分を思い出しながら、新田は一人で呟いていた。
 あの頃は素直に、なりたいものに真っ直ぐに向かって行く勇気があった。柿崎と出会ったことで、本当になりたいモノを見失った自分の弱さも学んだ。
 そして今の自分は世の中の現実を知り過ぎてしまっている。
 金が途絶えれば家族はどうなる?
 全てを失ったとき、おれ自身、他にどうやって生きて行けるっていうんだ?
 同じ疑問が頭の中を堂々巡りしたまま1時間も経った頃、再び新田は答えを出せないまま自宅のドアを開いた。
「パーパ、おかえり!」娘のあおいが新田の車の音に気付いて、既に玄関先に出迎えに出ていた。
「あーら、本当にパパだったのねぇ。あおいちゃん、凄いねぇ。」妻のみくがあおいを嬉しそうに褒めながら、
「お帰りなさい、お疲れ様。」と優しく新田を迎え入れてくれた。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 17.決断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

17.決断(6)


 夕食を食べながら新田は、田村、柿崎との話を全てみくに伝えた。
 この間の英国出張のことも、実はレーシングスクールで学ぶための渡英だったことを、このとき初めて詳しく話した。
 みくも最初は新田の話を聞くだけで、何も答えたりはしなかった。
 が、一通り聞き終えたと感じた頃、
「で、あなたが一番したいことは何なの?」と、初めて尋ねた。
「ただし私たちのことを除いて・・・よ。」
 新田はみくの顔を見ることは出来なかった。
 が、少し間を置いてハッキリとした口調で答えた。
「走ってみたい。」
 みくは新田の様子と返って来た答えに、思わず可愛らしい声で笑った。
「じゃあ行って来なさいよ。もう決まってるのと同じじゃない。」


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 17.決断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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