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2009年09月01日

18.挑戦(7)


 田村とトマスがガレージ前の停止位置まで誘導してくれた。
 トマスはコクピット内に手を伸ばしてエンジンを停止させると、手際よくマシン各部のチェックを始めた。
 その間、田村が「結構速いでしょ?F3。」と笑って新田に話しかけた。
「とにかく慣れることを優先してください。マシンと、コースに。特に石畳でどんな挙動を起こすか良くチェックして来てください。」
 新田はヘルメットを前後に揺らして返事をした。
「OK、本気で走らせて来ていいよ。」チェックを終えたトマスが、田村に向かって指示を出した。
「じゃ新田さん、好きなだけ走ってきてください!」
 再びエンジンが始動されると、今度はホイールスピンさせながら新田がコースインして行った。


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18.挑戦(8)


 その夜、新田は田村と町に下りて夕食を共にした。田村が借りているレンタカーで町に向かい、一番最初に見つけた小さなレストランに入った。予約している宿は二人別々だったが、このレストランからはどちらもそう遠くない。
「何ヶ所か、ブレーキングポイントに石畳がありましたね。迷いどころになりそうですか?」田村が心配そうに新田に聞いた。
「一瞬跳ね上がるみたいで、ブレーキが効き始めるのが遅れるように感じるんですけどね。特にタイムを縮め始めると気になりましたね。」それほど美味いとは思えないメニューを頬張りながら、新田は答えた。
「あれ、わざとあそこに石畳を埋め込んであるそうですよ。」田村はトマスからその話を聞いた。
「あのチーム、一筋縄では見つけられないノウハウを山ほど持ってそうですね。」新田は直感的に感じていた。
「明日のテストも、何か奇抜なことを要求されそうな気がするな・・・。」
「有り得ますね。ドライバーの発掘、育成の面でも評価が高いチームですから。」田村も新田に同意した。
「まあ、明日1日で進退がいきなり決まるんですよね。」新田が覚悟を決めた表情で田村を見つめた。
「ええ。ぜひともスタートラインにしたいですね。」田村も新田の目を見つめて答えた。


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posted by 北乃 道晴 at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 18.挑戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

18.挑戦(9)


 ほんの僅か前まで鳥のさえずりしか聞こえなかった美しい庭園に、2台のF3の甲高いエキゾースト・ノートが響き渡った。
 大勢の年配の男達がこの2台のマシンの周囲で忙しそうに作業をしている。
「今日のテストだが、幾つかやってもらうので集中力を切らさないように注意してくれ。」マネージャーのワッツが、新田とインド人ドライバーを前にして告げた。
 背が高く、若々しいインド人ドライバーと、小柄でヒョロヒョロの中年日本人。周囲には奇妙な凸凹コンビに見えた。
「今から30周、タイムアタックをしてもらう。と言っても、条件付なんだが・・・。」ワッツは2台のマシンを見ながら続けて言った。
「マキシマム回転数は6500rpm。これを超えたら失格だ。で、まずやってもらう事なんだが・・・。1速ギアだけで5周、2速ギアだけで5周、・・・と順番に一つのギアだけでタイムアタックしてくれ。その間、シフトチェンジ禁止ということだ。クラッチも切らないでくれ。」
『何のテストなんだ・・・?』新田は一瞬、拍子抜けした印象を受けた。が、実際に走り出した途端、その難しさを痛感する。
 1速で5周のタイムアタック。あっという間に最高回転数6500rpmに達してしまう。最高速は極端に低いため、ブレーキングすることなく周回できそうに感じたがそう甘くもなかった。下りに入ると重力で加速してしまい、エンジン回転数が6500rpmを超えそうになってしまうのだ。せっかくの最高速を、自らブレーキングして制限するという我慢が要求された。しかも直線区間が異様に長く感じる。
『これでタイムを出せって・・・?シビアにラインを見つけ出す課題ってことか。』
 田村もこのテストの難しさに目をむいた。
「凄いこと考え付くもんだ・・・。」


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 18.挑戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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