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2009年09月02日

19.身辺整理(1)


「BRAは今日以前に7人のドライバーをテストしてたそうです。」
 ヒースロー空港へ向かう途中、田村が新田に話しかけた。
「あのムハンドは1回目にテストを受けたそうですが・・・、今回を含めて3回も呼び出されてテストに参加させられていたようです。」
「それって最初から合格していて、他のドライバーのテスト基準にされてたって事ですか?」新田が驚いて聞き返した。
「そうみたいです。ムハンドは今日まで合格を知らされなかったんですから、ちょっと可哀想ですよ。」田村もムハンドに同情していた。
「去年の英国フォーミュラ・ルノーでチャンピオンを取ってるらしいですよ、彼。」新田がシャワー室での会話を田村に話した。
「ええ、今年もこのままだとチャンピオンになるでしょう。2年連続ですよ。腕はF1関係者からも注目を浴びてるみたいです。」
「でも、F3のオーディションを受けないとステップアップできないんですか?」新田には信じられない話だった。注目してるなら、オファーが来たって良い筈じゃないか。
「世の中、やはりお金なんですよ。現金を持っているか、現金を生み出せるスター性や話題性を持っているか。まずはここが最初のハードルになるんです。」田村が苦々しそうに答えた。
 少し気分を変えるために間を置いてから、新田が思い出したように言った。


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19.身辺整理(2)


「田村さん。ライセンスって・・・どうしたら良いんです?」
 新田の質問を聞いて、田村の表情が笑顔に変わった。
「任せてください。これからが僕の出番です。もちろん新田さんにも頑張ってもらいますけどね。」
 新田は田村の返事に圧倒された。
 これまでだって新田を売り込むのに、田村は相当苦労していたはずだ。
 が、田村はその程度のこと・・・のように、全く苦にもしていない様子で答えてくれた。
「感謝します、田村さん。」
「何言ってんです。F3に乗れるからって、レースで食っていけるわけじゃないんですよ。まだスタートラインに並んだかどうかってトコなんですから。」そう言いながらも、田村の声は弾んで嬉しそうに響いた。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 19.身辺整理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

19.身辺整理(3)


 正直なところ、何故自分がBRAのテストに合格できたのか?納得できずに新田は帰国した。
 少なくとも「責任重大」な状況に置かれたことだけは自覚していた。
 大急ぎで国際B級ライセンスの発給を受けなければ全てがご破算になるのだから。
 だが全くの初心者が、今からたった数ヶ月で日本選手権(全日本選手権あるいは地方選手権)のレースで完走し順位認定を受けなければならない。
『よほどの天才だって不可能な話じゃないか!』
 冷静に考えれば考えるほど、冷や汗が出てくるのが判った。
 柿崎も、ジャパン・ビークルのメンバーも、もちろん妻のみくも、テスト合格の報告に驚き、そして大いに喜んでくれた。
 だが、新田を思う人たちから喜んでもらうほど、無謀なチャレンジに踏み込んで行く自分自身に不安を感じずには居られなくなっていった。
 帰国して数日後に田村から連絡を受けると、新田はすぐに富士スピードウェイに赴いた。
「オンボロで申し訳ないんですが、何とか1台FJ1600の都合をつけましたよ。」生き生きとした表情で田村が新田を迎えた。


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 19.身辺整理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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