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2009年10月14日

36.永遠の日常(1)


「昇竜・・・、そういやそんな呼ばれ方してたことがあったな・・・。」
 柿崎、長谷の目の前で、吉森がぼんやりとした記憶を思い返していた。
 新田の話を聞いて、ジャパン・ビークルのメンバー全員が遠い昔の自分達の姿を脳裏に浮かべた。
 新田が善九郎の通夜に顔を出したのは、夜11時を回った頃だった。
 運転手付きのクルマを出してくれたミッシェルとともに、みくとあおいを病院に送り返した後、ミッシェルに札幌市内の斎場まで送ってもらった。
 さすがに大部分に人間は斎場を後にしている時間だったが、それでも常時数十名前後の人間が訪れては祭壇に手を合わせていた。
 会場の手伝いなどもあり、ジャパン・ビークルのメンバーはまだ全員残っていた。
「龍は昇れど・・・。今のジャパンビークルのことを言ってるんでしょうね。」新田の言葉を整理しなおしながら、ジンがタバコを消した。
 全道中の名立たるグループをことごとく傘下に収めて覇権争いに終止符を打ったころ、柿崎らは周囲から
「札幌の柿崎一派」、「札幌の昇竜」と呼ばれていた。


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posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

36.永遠の日常(2)


 柿崎達は自分達のチーム名を考えたことも付けた事も無かったため、この呼ばれ方がどの程度広まっていたのかは今もって判らない。
「会長はオレの名前も知っていたからなぁ・・・。意外とそうかもしれないな。」柿崎が新田の方を向いた。
「何が全道制覇だったのか判らなかったけど、最後に帯広で大暴れした後はあっちこっちからごっつい奴らが続々と挨拶に来ましたもんね。」ヒロトシが懐かしそうに笑った。
「だけど、年を取って行くってことか?」柿崎がロビーから善九郎の遺影を眺めた。
「まあ・・・。誰もが後戻りすることは出来ないってことなのかもしれませんね。」長谷がネクタイを緩めた。
 そして、
「悔い無く生きろって、言ったんでしょう。」とネクタイを抜き去り、Yシャツのボタンを一つだけ外した。
「ったく、回りくどい。」柿崎もネクタイを緩めた。
「でも、最後までオレ達のこと、気に掛けてくれていたんですね。」吉森がポケットに両手を入れながら言うと、エレベーターに向かって歩き出した。
 柿崎もそれに続きいて歩き出し、
「ああ。宿題も残して行ってくれたからな。」と呟いた。


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posted by 北乃 道晴 at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

36.永遠の日常(3)


「宿題?」そばに居たモトハルが驚いて柿崎に続いた。
 メンバー全員がぞろぞろとエレベーターに向かって動き出した。
 周囲の参列者が異様な集団のように感じて、それとなく道を開けた。
「夢を信念に置き換えて、生きているうちに成し遂げろとさ。」
「漠としてるなぁ・・・。」ジンがエレベータの下り側のスイッチを押した。
 ただ、誰もが柿崎自身の夢を後押しすることだと解釈した。
「柿さん。今まで通り、続けようよ。」吉森がエレベーターに先に乗り込み、ドア開のボタンを押す。
 吉森の言葉を聞いて、皆も新たな期待感を持った。
「そうだな。オレ達はしたいことを夢中でやってられれば幸せだからな。」
 そう言いながら、柿崎がエレベーターに乗り込んでドアの方へ振り返ると、
「お前はお前の信念を貫けよな。」と新田に告げた。
 新田が最後にエレベーターに乗り込むと、
「まだ夢すらも見つけられてませんよ。」と笑ってネクタイを緩めた。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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