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2009年10月18日

36.永遠の日常(17)


「面白いところに目を付けましたね・・・。これですか?やりたかった事って。」新田が柿崎をちらと見た。
「ふん、まだまだ始めたばかりだよ。でもな、北海道発のトップドライバーがそのうち、日本中・・・いや、世界中を席巻するようになるかもしれないぜ。」タバコに火をつけながら柿崎が言った。
 北海道の弱点とも言える雪に埋もれた半年の期間を、柿崎は逆手にとってもっと活かそうと考えていた。
 路面との密な会話が出来るドライバーを、雪のコースで育て上げる。
 スキーもそのトレーニング・メニューの一つと考えているのだ。
「龍、お前が原型を作ったんだよ。」柿崎が続けて言った。
「原型?」
「正直、日本のスキー環境じゃアルペンレースで食っていくのはまだ無理だ。その点、モータースポーツなら動く金が破格だからチャンスはまだある。そして、それをお前があの子達に見せてくれた。」
「F1・・・ですか。」新田は他人事のように答えた。
「アルペンスキーでワールドカップのチャンピオンになりたかったっていう夢はまだ忘れて無いけど、まずはモータースポーツから雛形を作って行っても良いかって思ってる。」柿崎はスピンして雪山に突き刺さった子供の姿を見て笑った。
「雪が溶けるたびに、あの子達は驚くほどタイムを縮めている。お前もうかうかしていられないぜ。」隣で聞いていた長谷が新田を見つめた。
 田村も、柿崎達も、次から次へと斬新で将来を見据えたアイデアをよくもこれほど思い付くものだ・・・と、新田は感心した。
 そして、俺はこの先どこへ向かっていくのか?カートで走り回っている子供達のヘルメットの中の笑顔を想像しながら、答えの無い自分の未来にもっと熱いものが待ち受けているような気持ちになった。


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posted by 北乃 道晴 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月17日

36.永遠の日常(16)


「そうだ。その板とブーツ、サインして置いて行けよ。どうせもうスキーなんかしないだろ?PR用にガレージに飾るからさ。」はたと気付いたようにジンが言った。
「商売癖が付いたなぁ、ジンは。」長谷が苦笑した。
 手稲スキー場からの帰り道、一向は千歳まで足を伸ばした。
「面白いものを見せてやるよ。」柿崎が提案したためだ。
 大人六人と少年三人を乗せたマイクロバスが千歳スピードランドの駐車場に着いた時、新田はすぐにコース上を見て気付いた。
「雪道でカートを走らせてるんですか?」
 そろそろ辺りも薄暗くなってきている中、7〜8台のレーシングカートが雪に覆われたコース上を駆け回っている。
「タイヤメーカーに頼んで、専用のスパイクタイヤを作ってもらったんだ。なかなか良く走ってるだろ。」柿崎が答えた。
 そして続けて、
「どう思う?凄いことになりそうだと思わないか?」と言いながら、雪上を走るカートを見つめた。


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posted by 北乃 道晴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

36.永遠の日常(15)


「大人気ないな・・・。それにしてもまだ滑れるもんなんだな。」柿崎がゴール付近の雪の上に座り込んでいる新田を見下ろして笑った。
「いやぁ。ポールも板も、何もかも、昔とはずいぶん違うんだね。これ以上はムリ、ムリ。」新田が息苦しそうに答えた。
 3人の少年達は残る時間をのんびりとスキーに興じ、新田ら大人たちはすぐに音を上げてレストハウスへと引き上げて行った。
「子供って本当に疲れ知らずだな・・・。」
 新田は、滑り降りて来ると休むことなくリフトに向かう3人の少年たちの姿を見ていた。
 スキーブーツを脱ぎ、のんびりとコーヒーをすする大人たち。
「お前でもきついか?」吉森が新田を冷やかした。
「普段は車に座ってる仕事ですからね。勝手が全然違いますよ。」
 新田の言葉を聞いてモトハルは、
「なんだかF1ドライバーの凄いイメージが影を潜めちまうなぁ。」と足を痛そうにさすった。


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posted by 北乃 道晴 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 36.永遠の日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする




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